14期生 阿井 康平
ゲームプレイ動画の鑑賞はゲームソフト売上を妨げるのか
「コンテンツ産業において、海賊版の存在は正規品の売上などにダメージを与える」音楽業界を中心によく言われている定説であり、多くの経済学者がこの問題に対して実証分析を試みてきた。インターネットの普及により上記の議論は今日、ビデオゲーム業界、アニメ業界などにも適応されるものとなっており、本研究はビデオゲームにおけるプレイ動画に焦点を当てている。本研究の着目点が何故ゲームソフトの海賊版そのものではなく、プレイ動画なのか。それは、海賊版が違法でありかつ企業の取り締まりも厳しい一方、プレイ動画に関しては違法であるものの、企業の取り締まりの強さがケースバイケースであり、最初の定説が必ずしも当てはまらないからではないかと筆者は考えたからである。
仮説は、動画再生数の上昇は売上に対して正の効果を持つ事である。もしプレイ動画が正規ゲームソフトと完全な代替関係にある場合は負の関係を持つ。しかし、プレイ動画単体は規格上”ビデオゲームそのもの”であるとは言えなく、理論的には代替関係ではありえない。その他の仮説は、この仮説の効果を強くさせる要因を検証した。
今回、ニコニコ動画を用いて動画の情報を抽出する事により、日々の再生回数と売上を対応させる事ができた。得られた結果としては、動画再生数は正に有意な結果が得られ、プレイ動画それ自体には代替性が無いことが実証された。しかしながら交差項に関しては有意な結果が得られず、プレイ動画の特性の影響が検証できなかった。