template

Articles

17期生 鈴木 舞

取無添加表示が食品価格に与える影響
—ヘドニック・アプローチを用いた実証分析—

 近年、食の安全に対する意識の高まりから、食品パッケージの“無添加”表示が目立つ。一般的に、添加物を使わない事によってコストが高くなることが予想されるが、消費者は“無添加”であることをどの程度評価しているのだろうか。また、その程度は食品によってどれ程異なるのであろうか。
 本稿では、ヘドニック・アプローチを用いて“無添加”に対する価格プレミアムを推定する。国立市内のスーパーマーケット3店舗で実際に販売されていた4つのカテゴリーの商品を対象に、カテゴリーごとに推定を行う。対象としたカテゴリーは、プロセスチーズ、ベビー用お菓子、ハム・ソーセージ・ベーコン、味噌の4つである。
 推定結果から、チーズについては消費者は添加物の有無によって支払い意欲が大きく変化する事は少なく、味噌については無添加の製品に対して添加物使用製品よりも18%多く支払ってもよいと考えている事が分かった。さらに、ハム・ソーセージ・ベーコンについては、着色料不使用製品には使用製品よりも25%多く支払ってもよいと考えており、粘着補強材不使用製品には使用製品よりも71%多く支払ってもよいと考えている事が分かった。
 今後の課題として、他の品目についても同様に調査することにより、数ある食品の中で、消費者が“無添加”に最も評価をするのはどのような食品なのかが明らかになると考えられる。また、同じ食品に対し異なる地域間での調査・比較を行うことで、地域間での食品添加物に対する評価の違いも明らかになるのではないだろうか。
 本稿と今後の研究により、製造者・販売者がより“無添加”に力を入れるべき商品とそうでない商品が明らかになる事で、製造・販売者と消費者の両者に利益がもたらされることを期待する。

Back