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17期生 宇田川 浩

どのような企業が女性活用に積極的か

 少子高齢化や女性の高学歴化を背景に、仕事を通じて社会に貢献しようというキャリア志向の女性が増加している。本稿では「どのような企業が女性活用に積極的か」というテーマに基づき実証分析を行った。このようなテーマの論文は必ずしも多いとは言えず、希少価値は高い。
 本稿で立てた仮説は以下の4つである。第1に「女性社員比率が高い企業ほど、女性活用に積極的になる」という仮説、第2に「利益率が高い企業ほど、女性活用に積極的になる」という仮説、第3に「規模の大きい企業ほど、女性活用に積極的になる」という仮説、第4に「管理職女性比率(女性管理職数 / 全管理職数)が高い企業ほど、女性活用に積極的になる」という仮説である。
 分析対象は就職四季報女子版からデータの取れる地方銀行16社とし、それらの企業の8回分(変数にラグや平均をとっているため、タイムスパンとしては11年分)のパネルデータを作成した。製造業ではなく金融業を対象にした理由としては、「製造業よりも労働集約的であるため、人的資本の役割が相対的に重要であると思われること」などがあげられる。都市銀行はデータが取れなかったため、分析対象外とした。女性活用の指標である被説明変数には産休取得率・育休取得率を使用し、パネルデータによる固定効果推定・変量効果推定を行った。
 分析の結果「女性社員比率が高い企業ほど、女性活用に積極的になる」という仮説のみが支持され、その他の仮説については有意な結果を得ることが出来なかった。この結果は「従業員に占める女性の比率が高ければ高いほど、企業が女性活用制度構築によって得られるメリットが大きくなる」ということを示している。

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