18期生 中島 哲太
市場の均衡企業数の要因
-美容院のデータによる実証分析―
現在、多くの企業によって様々な市場への参入が行われている。そのため、新たな市場への参入を試みる企業にとって、どのような市場が参入に適しており、どのような市場への参入を避けるべきなのかという判断は大きな関心事となっている。 その指標として有用なものに市場の回転率がある。市場の回転率の要因に関する研究は数多くなされているが、その代表的なものとしては、Asplund and Nocke (2004)がある。この研究では、市場の回転率の要因は産業によって異なるとしながらも、観察可能な主な要因として参入費用と特に市場規模に注目して、分析の対象としての条件を満たす美容院の回転率の要因に関する分析を行っている。 そこで本稿は、日本の東京都と神奈川県における市町村ごとのデータを用い、Asplund and Nocke (2004)に基づき、代替財の供給者として理容店の存在を条件に加え、美容院の市場の均衡企業数の要因を分析することで、参入に適した市場を選定する際の指標を提言するものである。