19期生 飯塚 俊樹
地域における創業支援策の導入要因分析
—「創業支援事業計画」を例に—
1980 年代以降、我が国の開業率は低迷を続け、企業の数もピーク時の三分の一程 度まで減少した。開業率の低さおよび企業数の減少は、地域における新たな財やサ ービス・雇用の供給を減らし、経済活力の低下を引き起こす。こうした状況の中、 「日本再興戦略」で述べられているように、開業率を引き上げて「地域経済の活性 化」や「イノベーションの創出」を実現することは、我が国の産業にとって緊急の 課題である。そのためには中小企業を地域経済の活力の源として再認識し、地域レ ベルから創業を促進していく必要があるが、地域レベルでの創業促進策の導入要因 の計量的分析となると、少なくとも国内では前例がない。 本稿では、2014 年より実施されている創業支援スキームにおける「創業支援事業 計画」を例に、全国の市区における創業支援策の導入要因を計量的に分析している。 本研究の主な特徴は、地域における政策の導入要因を分析している点、またそれが 日本では前例のない創業支援策に関わるものである点にある。プロビットモデルを 用いて分析した結果、(a)自治体の商工業への力の入れ具合の大きさ、(b)現状の開業 率の低さ、(c)65 歳以上人口比率と平均給与の高さが、地域における「創業支援事業 計画」の導入に正に有意に影響していることが分かった。 (a)の結果から、国が自治体による創業支援策の普及を試みる際には、自治体の商 工活動に対する財務的・人的な支援を行うことや、自治体が商工業へ更なる力を入 れられるようなスキーム作り、広報活動をすることが求められる。また(c)の結果は、 自治体による創業促進策の導入は、自治体が考える必要性にのみ左右され、地域の 新規開業に関わるニーズを必ずしも十分に考慮していない可能性を示唆している。 この場合、創業支援策がより効果的なものとして普及するためには、自治体が地域 の創業ニーズを把握し、それに応じた創業支援策を練ることが求められる。