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19期生 堤 健太郎

NBA チームの人気決定要因

 市場規模世界トップの北米スポーツ市場において、代表的なプロスポーツリ ーグの 1 つである NBA(National Basketball Association)の各チームの人気を 決定する要因を計量分析で明らかにする。そうすることで、現在東京五輪に向け てスポーツ産業の振興を目指す日本をはじめ、世界各国のスポーツリーグにも 応用できるようなスポーツチームの戦略モデルを示す。また、本研究の結果は経 営難の NBA チームに対する提言にもなり得ると考える。 具体的には、チームの人気の代理変数としてチケット収入を被説明変数とし、 チームの勝率やスター選手などの存在、アジア系選手などがチケット収入に与 える影響を分析する。スター選手関連の議論においては、先行研究にはなかった フランチャイズプレーヤーという概念を取り入れた。分析対象は 2004-5 シーズ ンから 2014-5 シーズンまでの 11 シーズンにおける NBA29 チームとし、パネ ルデータを用いた変量効果分析を行った。 結果は、勝率やスター選手などの存在に関する変数等が有意に正となったが、 勝率は他の変数に比べてチケット収入に与える正の影響が非常に大きいという ものであった。このことから、スポーツチームの運営は何よりも優先してチーム を強くすることが重要であり、場合によってはチームが抱えるスター選手や有 望選手に早々に見切りをつけることも必要だということができる。一方で係数 は勝率に比べて小さいながらも、スター選手やフランチャイズプレーヤーなど の存在がチームの人気に正の影響を与えることも示された。このことから、例え ばチームがある程度強く、且つ所属するスター選手が戦力的にあまりプラスに なっていないような場合には、スター選手のサラリーを抑えてキープするとい うのも 1 つの手であると言えるだろう。

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