20期生 小林 拓朗
サッカー競技人口の決定要因都道府県間の比較分析
本研究では、サッカー競技人口の代理変数として日本サッカー協会の登録者数を 用いることで、サッカーの競技者人口の決定要因を四つの年齢層に分けて計量的に 分析を行った。分析手法としては都道府県ごと、2002年から2013年の12年分のパネ ルデータを用い、変量効果分析を行っている。この結果から、スポーツ産業の発展 に不可欠なスポーツ参加人口の増加の要因を解明することを目的とし、また、マク ロ要因を説明変数とすることで今後の日本のスポーツ政策に寄与することを目指し た。 分析結果として地域別のサッカー競技人口の決定要因として明らかになったの は、小学生においてはプロ野球チームと総合型地域スポーツクラブの存在が負の影 響を持つこと、中学生においては総合型地域スポーツクラブの存在が負、Jリーグク ラブの存在が正の影響を持つこと、大学生以上の成人は総合型地域スポーツクラブ の存在が負の影響を持つこと、シニアにおいてはJリーグクラブの存在が正、プロ野 球チームの存在が負の影響を持つこと、に留まった。 スポーツ振興基本計画に明記されている政策の一つである総合型地域スポーツク ラブはまだ結果が出ているとは言い難い状況であることがわかった。また、プロス ポーツチームの影響力は年齢層により差があったが、人々の余暇活動に対しての影 響力を示した。 仮説通りとはいかない結果が出た部分があったが、重要な結果として、年齢層に よって分析結果が大きく異なること、都道府県間というよりも全国的に影響を与え る要因が大きな力を持つこと、がわかった。特に、大学生以上の成人において、年 次ダミーを含めてほとんどすべての変数が競技人口に対して有意な効果を持たない ことは大きな発見である。その理由はこの分析からは明確にできないが、大学生以 上の成人においては日常的にスポーツに取り組む時間的余裕が対象期間を通じて全 体的に少ないことが示唆される。