20期生 下野 航太郎
次世代育成支援策推進のためには
-銀行業における「くるみんマーク」取得企業からみる実証分析-
現在、安倍政権の政策、新・三本の矢に代表されるように、近年では社会での女性活躍 と少子化対策が政策における大きなテーマとなっている。また、数々の論文が指摘してい るように、女性の結婚、育児等のライフイベントは女性活躍を阻害しており、女性活躍と 子育て支援を通じた少子化対策は密接な関係にある。そして政府はこれらの問題に関し、 2003 年より次世代育成支援対策推進法に基づき「くるみんマーク」を、2015 年より女性活 躍推進法に基づき「えるぼしマーク」を認定企業に付与する活動を始めた。 本研究は、その中でも施行から年数が経つ「くるみんマーク」に注目し、その取得要因 を一般職と総合職等男女の性別職務分離が色濃く残る銀行業について分析することで、少 子高齢化問題の解消や女性が活躍しやすい社会の実現のために何が必要であるかを考える。 分析としては、企業内における女性の活躍、企業規模、企業の業績、企業のガバナンス という 4 つの側面から仮説を立て、東証一部上場の銀行業を対象に「くるみんマーク」取 得の決定要因を 2003 年から各企業の「くるみんマーク」取得年までのパネルデータを用い て、Cox 比例ハザードモデルを用いたサバイバル分析により検証した。 そして分析の結果、 「くるみんマーク」取得には外国人持ち株比率が負の影響を、従業員 数と総合職採用における女性比率が正の影響を及ぼすことがわかった。