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20期生 山田 凌也

洋画のプロモーション効果に関する分析
~タイトル変更とポスター変更に関して~

 文化財を世に広めるにあたって、プロモーションの戦略は非常に重要な位置を占めてい る。特に、洋画については日本で公開される際に原国版とは異なるタイトルやポスターが用 いられることが非常に多い。このような戦略は日本ではかなり昔から慣例的に行われてい る。このようなタイトルやポスターの変更は日本での興行を成功させるために行われてい ると考えられるが、その効果に関する定量的なエビデンスは無く、実際の効果は定かではな い。そこで本論文では、日本映画製作者連盟が公表している洋画の興行収入データを用いて、 日本で長年用いられてきたタイトルやポスターの変更というプロモーション戦略の効果を 分析する。 主な説明変数はタイトル変更ダミーとポスター変更ダミーの二つである。実際の効果を 分析する前に、二つのダミーの内生性チェックと変更の要因分析を行った。その結果、制作 国で売れた実績のある作品はタイトルやポスターの変更がされにくい等の示唆を得ただけ でなく、タイトル変更ダミーの操作変数として「原国版タイトルの単語数」を得た。その後、 本稿の主な目的である各変更の興行収入への影響の分析を行った。被説明変数は国内興行 収入の自然対数値と、各変更の興行収入を引き上げる実際の効果を分析するための被説明 変数である日米間の興行収入差の二つである。タイトル変更に関しては先に述べたように 原国版タイトルの単語数を操作変数として用いた二段階最小二乗法で、ポスター変更に関 してはポスター変更ダミーをそのまま用いた最小二乗法で分析した。コントロール変数と して各映画の受賞歴やジャンル、配給会社等の様々な映画の特性を用いた。また、タイトル 変更とポスター変更の相乗効果を調べるために二つの変更ダミーの交差項を説明変数に用 いた分析も行った。 興行収入データを用いて分析を行った結果、洋画のタイトルやポスターの変更に関して 様々な示唆が得られた。タイトルの変更に関しては、結果の頑健性に不安が残るものの一部 の結果で、日本での興行収入を引き上げるという仮説通りの結果が得られた。このことから、 外国の映画が日本で受け入れられるかどうかはそのタイトルにも依存すると言えるのかも しれない。また、本稿の分析ではポスターの変更に関しては、タイトル変更との相乗効果が あるという可能性は示されたが、ポスター変更そのものに興行収入を引き上げる効果があ るという仮説は支持されなかった。

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