21期生 小栁 雄也
「公共事業の一括発注における費用削減効果に関する実証分析
—事業者の選定方式による効果の違い―」
本研究は民間企業に公共事業を一括発注することで費用削減を図る公民連携の手法の一つである PFI Private Finance Initiative)を対象として、事業者の選定方式の違いが費用削減効果の大きさVFM:Value for Moneyに与える影響を実証的に分析した。特に、公募後の契約交渉において条件を変更できず、価格評価のウェイトが 相対的に 高い総合評価一般競争入札と公募後の契約交渉において条件を変更可能であり、提案内容を先に評価するために価格評価のウェイトが相対的に低い公募型プロポーザル方式を比較し、交渉と競争の間にあるトレードオフの関係に着目した。
本研究の主要な結果は以下の通りである。
① 公募型プロポーザル方式を導入すると交渉可能であるため、不確実性が抑制され、費用削減効果は平均的に上昇する。
② 公募型プロポーザル方式を導入すると価格競争が抑制され、応募者数の増加による費用削減効果は縮小する。
③ 上記の効果 は 応募者数が約 6グループのとき 相殺される と推定される。
以上の結果から、費用削減効果を最大化するためには、応募者数を増加
させるための取り組みを行う、あるいは事後的な交渉によって不確実性を解消するための仕組みとして公募型プロポーザル方式の活用を模索するといった施策が考えられる。
キーワード: PFI、 VFM、総合評価一般競争入札、公募型プロポーザル方式費用削減効果、公共事業、不確実性、交渉