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21期生 島津 結美

レジ袋削減の取り組みは一人当たりの家庭ごみの量に影響を与えるのか

 本研究は、国土の狭い日本で特に深刻化しているごみ問題、特に埋め立て地不足の解決の一助となるべく、多くの消費者が身近に日常的にできる環境保護行為である「レジ袋辞退」に着目し、レジ袋の削減への取り組みと一人当たりの家庭ごみの排出量との関係性について実証分析を行ったものである。
 本稿では2018年の1年分の各市町村のデータを用いて線形モデルで分析を行った。結果としては、レジ袋の削減に取り組んでいる自治体は一人当たりの家庭ごみの排出量が少ないこと、また人口密度が高い自治体ほどレジ袋削減に取り組んだ時の効果が高いということが示された。
 本稿の新規性として以下の2点を挙げたい。まず、今までごみ問題に関する研究の対象は、ごみ袋の有料化など自治体や政府が行動主体のものが多く、私たちの身近な行動から離れたことに関する研究であった。それに対して本稿のレジ袋の削減への取り組みは老若男女問わず日常生活に直結する研究であり人々の意識を変える上でも有益なものであるだろう。次にこれまでの研究はレジ袋の削減とレジ袋の辞退率との関係を調べるものがほとんどであり、またそれらもアンケート調査によるものである。本研究では、レジ袋の削減への取り組みと実際のごみの排出量との関係性を実証的に分析したという点で新規性があると考える。
 最後に本研究の重要な課題として2つ挙げたい。まず本研究で用いた調査は自治体と事業体が連携してレジ袋の有料化を実施しているかどうかしかわからなかったという事である。このデータのみでは、事業体が自治体とは連携せずにレジ袋の削減に取り組んだものは含まれない。次にデータの制約上、レジ袋の削減に取り組んでいる指標として用いたレジ袋削減ダミーには、マイバッグを持ってくるように呼び掛けることやレジ袋を断ったらポイントを付与する事、レジ袋の有料化に取り組んでいることなど、何かしらレジ袋の削減に取り組んでいたら1をとるダミー変数になっている事だ。様々な取り組みを含めた変数であることを忘れてはならない。

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