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22期生 藤原 洋輝

LCC参入が観光業に与える影響の要因分析
―観光資源の性質に注目して―

 2012年3月に Peach AviationがLCCとして国内線に初めて参入して以降 、国内線におけるLCCの持つ役割は大きくなっている。LCC参入がもたらした影響としては主に「国内 航空市場における新規需要の創出」「地方の観光業活性化」という2点があげられる。また同時に、これらの影響の大きさは路線によって大きく異なる。本稿ではLCCの利用者の属 性を鑑み、影響の大きさを左右する要因を観光資源の性質に注目して分析した。国内の全路線を分析対象として、被説明変数に路線別月間旅客者数、説明変数にLCC参入に関する変数、観光資源の性質に関する変数及びそれらの交差項を用い、固定効果分析を行った。「①LCCの参入及びシェアの増加は旅客者数に正の効果をもたらす」「②観光資源の魅力は旅客 者数に正の効果をもたらし、その大きさはFSCよりLCCのほうが大きい」「③訪問経験は 旅客者数に正の効果をもたらし、その大きさはFSCに比べてLCCのほうが大きい」という3つの仮説に対し、仮説①は支持、仮説②及び③は不支持となった。これらの結果から導かれる考察及び政策含意としては、外的要因のコントロールが不十分であった可能性が否定 できず十分な示唆が得られなかったものの、観光資源という視点に加え交通アクセスの視点を併せることで新たな示唆を得られる可能性を得たほか、LCCが参入しなければ訪れな かったであろう地域・路線への参入ほど効果は大きいという示唆も得られた。 最後に本稿を通して 「コントロールの方法 の妥当性」「様々な分析方法を試す余地」という2点が課題 として挙げられた。

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