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22期生 井山 瑞貴

海外での取引範囲の広さが企業パフォーマンスに与える影響
~自動車部品メーカーのミクロデータを用いて~

 自動車産業における企業間の取引構造は、かつての長期的で強固な関係から広範囲で柔軟性のある関係に変化しつつある。そのような変化のなかで企業が顧客とどのような関係を築くのかは、企業の成長戦略の一つとして重要となる。しかし、多くの取引関係の研究はサプライチェーンの頂点にいる完成車メーカー視点でしか研究されず、また国内の顧客を対象としている。
 そこで本稿では、サプライヤーである部品メーカーの海外進出先の顧客ネットワークに着目する。部品メーカーの現地先での顧客数と外国企業比率を用いて、経常利益率への影響をみることで、部品メーカーの取引関係と企業パフォーマンスの関係を「量」と「質」の両方の視点から実証分析した。
 その結果として、米国・カナダでは顧客範囲が広いほど部品メーカーの企業成果が優れているが、同じ先進国に含まれるヨーロッパとそれ以外の地域においては顧客範囲は企業成果に有意に影響しないことを発見した。また、取引関係の多様性外国企業比率の高さは企業成果に影響を及ぼさないことも確認された。これらの実証結果は、市場規模が大きく世界の自動車産業の中心地である米国・カナダ地域では日本部品メーカーは積極的に顧客を開拓したほうがよい可能性を示唆している。

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