22期生 二木 達行
大学入試改革が私立中学校選択に与えた影響
本研究では、私立中学校の受験を志す子供及び保護者が学校選択をする際に、大学入試改革発表によってどのような要因を重視して学校を決定するようになったのかを実証した。「受験」に関しての研究はいまだ少ないが、その中でも本研究は学校の属性と受験制度のルール変更を考慮した初の研究となる。東京、神奈川、千葉、埼玉に所在する私立中学校を対象に、変量効果DID分析及び固定効果DID分析を用いて、政府が大学入試の英語試験に4技能テストを課したことで起きた私立中学校受験者数の変化の差が学校のどのような属性に起因するのかを明らかにした。分析から明らかになったことは以下の三つである。第一に、英語試験を中学入試に課すことは受験者数の増加につながらず、むしろ減少させる可能性がある。第二に、海外研修を実施することは受験者数をある程度増加させる。第三に、国からスーパーグローバルハイスクールの認定を受けている高校の系列校であることは受験者数に影響を与えない。本研究の課題は、受験者の個票データを入手できなかったこと、試験情報の追跡が困難であることで、これらを考慮しきれなかったことだ。将来の研究では受験者、学校、制度すべてを考慮した議論が望まれる。