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22期生 関戸 陽美

男性の育児休業取得有無および取得期間の決定要因に関する実証分析

 男性の育児休業取得は、男性の家事・育児参加を促進するために重要であり、現在政府も取得促進のために様々な取り組みを行っている。しかしながら、日本の男性の育児休業は、制度面での充実にもかかわらず、取得率・取得期間ともに国際的に見て低水準となっている。
 日本の男性の育児休業取得に関する研究はあまり蓄積されていない。その理由として、男性の育児休業取得者が著しく少なかったために、十分なサンプルが確保できなかったことが考えられる。確認できた数少ない研究もアンケート調査やインタビュー調査の考察が主なものとなっており、実証分析を行っている研究はほとんど見られない。
 そこで本稿では、日本の男性の育児休業取得有無および取得期間の決定要因を実証的に明らかにすべく、プロビットモデル及び最小二乗法による分析を行った。データは、東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターSSJデータアーカイブより、2017年に実施されたWEB上のアンケート調査の個票データの提供を受けた。分析により、(ⅰ)以前に育児休業の取得経験のある男性同僚・女性同僚がいた場合、(ⅱ)所得保障制度がある場合、(ⅲ)上司や管理職による休業取得呼びかけがある場合に、男性の育児休業取得率および取得期間が有意に増加することが示された。(ⅰ)の「同僚効果」は海外の複数の研究でも示されており、今回初めて日本でも同様の結果が得られた。
 本稿は、サンプリングや欠落変数、内生性などのバイアスを完全に否定することはできないものの、日本の男性の育児休業取得の決定要因を実証的に分析した点で意義があると考える。日本の男性の育児休業取得率は少しずつではあるが上昇してきているため、今後更にこの分野における研究が活発に行われ、その時代の社会の状況に合わせた政策や施策の提言を行うことが期待される。

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