22期生 鈴木 悠理
石油と内戦、平和に関する実証分析
本研究では国家における石油資源の質的・量的な特徴が、当該国の内戦発生確率や内戦後の和平期間の長さにどういった影響を与えるのかについて実証的に分析を行った。また、各国の政治体制に関する変数を導入することで、石油と政治の関係にも着目した。
本研究の主要な結果は以下の通りである。
①海底に存在する油田は有意に内戦の発生確率を高めるとは言えない一方で、陸上に存在する石油は有意に内戦の発生確率を高める。
②政治体制が独裁である国家における石油生産は、内戦後の和平期間を有意に長くする。
以上の結果より、豊富な石油資源に恵まれつつも内戦が絶えない中東諸国などが内戦を避けるためには、政府をはじめとする石油を管理する主体が石油資源から得られる利益を十分に国民へ再分配する仕組みが必要であると言えるであろう。