template

Articles

26期生 Kim Jeonghwan

ビデオゲーム配信視聴の直接的なゲームプレイへの誘導効果に関する定量分析

 本研究では、PCゲーム市場におけるソフトの供給者として独占的な地位を確立しているSteamのデータ、そして急成長を続けている産業であるゲームストリーミング市場において独占的な地位を持つTwitchのデータを活用し、ビデオゲームの配信を視聴するという行動がその後の直接的なゲームプレイへとつながる因果関係について分析を試みた。とりわけ、視聴するゲームを「ゲームの画面上の視点」と「刺激的な要素」という二つの属性で分類し、ゲームの属性によって影響の方向性や強度が異なり得ることを確認しようとする。
 その結果としては、ゲーム配信の視聴がその後のゲームプレイ人数に正の影響を与えることに加え、「ゲームの画面上の視点」に関しては1人称よりも3人称を採用したソフトの方が、「刺激的な要素」に関してはそのような属性を持つソフトの方がプレイ人数に更なる正の影響を及ぼすことを確かめることができた。一方で、3人称の視点と刺激的な要素を同時に併せ持つゲームに関しては、その上での更なるプレイへの誘因効果は観察されなかった。
 本研究が示唆することを主に3つ挙げることができよう。一つ目に、少なくとも短期的なゲームのユーザー数の増加には、ゲーム配信の活性化が有効な手段である。二つ目に、ゲームを開発・販売する企業にとっては、3人称視点を採用すること、又は暴力・性的要素・ギャンブルなど刺激的な要素を取り入れることは配信を通じては明確なアピール要素として働く。三つ目に、配信をマーケティングの手段として活用したい場合、企業側は自社のソフトの長所となる属性を明確にするべきである。この三つ目の点は、3人称の視点と刺激的な要素を併せ持つゲームの場合は更なる正の影響が観察されなかったことから言えることである。
 最後に、本研究の限界についても言及しておきたい。短期的な影響だけに注目した研究であったこと、ゲーム配信以外のマーケティング努力をモデル内に取り入れられなかったこと、そして配信の中にもいろいろな性格のものが存在しうるということがそれである。

Back