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26期生 中村 友哉

選挙候補者の得票率要因分析:選挙公報のテキスト分析の試み

 日本政治は、男性・高齢議員が中心であるという言説がある。日本のジェンダーギャップ指数は政治分野で最も低く、指数全体の足を引っ張っている。しかし、日本において女性・若年政治家が目立っていない原因は、明らかになっているとは言えない。本研究は、候補者が立候補の際に作成する選挙公報に着目し、日本における候補者属性と選挙結果の関係を検証した。
 本研究の新規性は、選挙公報をテキスト分析を通じて政策の代理変数化することで、候補者の政策によるものではない候補者属性の選挙結果への影響を分析した点と、地方議会における選挙候補者の得票率の要因分析を行った点である。本研究では、得票数・期待得票充足率・当選ダミー変数といった得票指標を被説明変数に、候補者の属性やトピック変数を説明変数に置いた重回帰分析を行った。分析の結果、地方レベルの選挙では女性及び若い候補者が政策をコントロールした場合でも得票指標が高いこと、女性が選挙公報で「女性」と盛んに言及したとしても、得票指標が高くなるわけではないことが明らかになった。この結果は、地方レベルの選挙では女性や若年層の立候補者の供給量が大事になる可能性や、女性が立候補する際に性別役割意識を持つ必要がない可能性を示唆し、政治家の今後の選挙戦略に影響を与える点で意義深い。

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