28期生 本多 影虎
クラウドファンディング型ふるさと納税の実施が自治体の寄附金獲得に与える影響
近年、ふるさと納税の寄附が活発化し自治体の貴重な財源となる一方で、一部自治体の財源流出や返礼品競争の激化といった制度の課題も浮き彫りとなってきている。このような状況下で近年、自治体が実施し始めているのがプロジェクト単位で寄附を募集するクラウドファンディング型ふるさと納税である。従来型のふるさと納税とは異なる特徴を持つクラウドファンディング型ふるさと納税に対してその実施の効果を定量的に分析した研究は少ない。そこで本研究では、全国1741の市町村(東京23区を含む)と47都道府県を分析対象として、クラウドファンディング型ふるさと納税の実施が寄附金獲得に対してどのような効果を与えるのか分析することを目的としている。
本研究では、自治体のふるさと納税への取り組みと寄附について調査した「ふるさと納税に関する現況調査」のデータと各種自治体の統計を使用して2018年から2023年の市町村ごとと都道府県ごとのパネルデータを構築した。分析手法としては市町村ごとの分析では、1つ目にクラウドファンディング型ふるさと納税実施ダミーを被説明変数とし、前年度の寄附総額の影響を分析するランダム効果ロジット分析を行った。2つ目に寄附総額を被説明変数とし、クラウドファンディング型ふるさと納税の実施の影響を見る固定効果分析を行った。都道府県ごとの分析では都道府県内の市町村の寄附金額分散を被説明変数にとり、都道府県内のクラウドファンディング型ふるさと納税実施市町村数の影響を分析する固定効果分析を行った。
分析の結果、1つ目の分析ではクラウドファンディング実施への前年度寄附金額の影響は否定されたが、返礼率の低い市町村ほどクラウドファンディング型ふるさと納税を実施する可能性が高いことが示された。2つ目の分析ではクラウドファンディング型ふるさと納税の実施が自治体の獲得寄附金を増加させる効果を持つことが実証された。最後に3つ目の分析では、クラウドファンディング型ふるさと納税が都道府県内の市町村間での寄附金の偏りを是正することは示されず、獲得寄附金の偏りは市町村の潜在的な経済力による影響が大きいことが分かった。
本研究の課題として、研究に必要なデータが十分に得られなかったことが挙げられる。自治体のクラウドファンディング型ふるさと納税への取り組みに関する詳細な調査結果は近年のものに限られたため、本研究ではクラウドファンディング型ふるさと納税実施ダミーによる分析に留まった。また、自治体の特性を示す変数をさらに追加することで寄附金の増加に資する自治体の潜在的な特性について包括的な分析ができると考える。