5期生 細萱 実
日本の電気機器産業における製品多角化・国際化とパフォーマンス
企業におけるマネジメントを語るうえで、製品多角化と国際化は極めて重要な戦略と位置付けることができるであろう。本論文の目的は、これらの製品多角化と国際化、更にはそれらの相互作用といった戦略的行動が、企業の利益率や利益の安定性といったパフォーマンスにどのような影響をもたらしているかを分析するものである。
本論文においては研究対象を1996年から2000年の電気機器産業に属する176社とし、製品多角化度や国際化度、それらの相互作用を説明変数に採り、収益の代理変数をROA、収益の安定性の代理変数をROAの分散として被説明変数に採ることで回帰分析を行った。
収益性に対する影響としては、製品多角化と収益性には負の関係があり、国際化は収益に正の効果をもたらすが、製品多角化はその効果を相殺させる方向に作用するとの結果を得た。
また収益の安定性に対する影響としては、製品多角化は収益の安定性に貢献する一方で、国際化は収益の安定性を悪化させ、また製品多角化と国際化の相互作用を観た場合には製品多角化は国際化の進展が収益の安定性を悪化させる効果を弱め、安定性を改善する方向へ働く効果を持つとの結果を得た。