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6期生 藤井マキコ

小規模取締役会の有効性

 本論文のテーマは、「小規模取締役会の有効性」である。取締役会は小規模であるほうが企業運営に適しているのではないか、と考えたからである。小規模な取締役会の利点としては2つ考えられる。
 1つは、企業経営における意思決定の迅速性・効率性である。これは、単純に人数が少数であることから、企業の経営方針を決定する際に意見をまとめやすいであろうこと、またお互いにコミュニケーションがとりやすく、経営状況の全体が把握しやすいと考えられる。現代においては、問題があればすぐ役員会を招集し経営方針を決定することが必要になってきているため、以上のことは重要であると思われる。
 2つめは、経営における権限の社長集中の回避である。これは、大規模取締役会の場合一人一人の役員の重要度が軽く社長の意見に逆らうと解任されてしまうのではないかという恐れにより、社長のイエスマンになってしまう危険性がある。対して小規模取締役会の場合各役員の管轄部門が広がり社長の権限が分散することにより取締役の解任の可能性が低くなる。よって、経営方針に関わる議論の際にも単なるイエスマンにならないと推測される。また、取締役が株主に代わって社長のモニタリングをする機関として有効に機能すると考えられる。
 私は、本論文で、取締役会が小規模であるほうが、経営陣が経営を行ううえで企業の資産を効率的に運用するかどうか、またコーポレートガバナンスの面でも社長を有効にモニタリングすることができるかどうか、について検証した。
 企業の経営成果の指標にはROAを使用した。また、モニタリングの指標としては、社長の辞任をとった。サンプルは、電気機器産業東証一部上場企業82社からとった。対象期間は1998年から2000年とした。
 分析結果としては、小規模の取締役会の方が企業の財的資産を効率的に運用するということは、実証されなかった。しかし、解任の可能性からパフォーマンスに対するより強いインセンティブを社長に与えることは実証された。

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