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6期生 松田 泰之

IPOによるガバナンス構造の変化とパフォーマンスについて

 近年マザーズやヘラクレスといった新興市場におけるIPO(Initial Public Offering)が活発になっている。IPOにおいてはメリット、デメリットの両方が存在するが、先行研究においてはIPO後に企業のパフォーマンスは低下することが有意に証明されている。しかし、IPO後になぜパフォーマンスが低下するのかという問題に対して確定的な結論は出されておらず、特に上場後のパフォーマンスと上場前後のガバナンス構造の変化との関係については様々な議論がある。本研究においては、企業におけるガバナンス構造を所有構造の変化が企業のパフォーマンスに対してどのような影響を与えるのかを考察する。
 2001年にIPOをおこなった企業を対象とし、筆頭株主が個人である独立企業、筆頭株主が法人であり、持株比率が50%以下である関係企業、筆頭株主が法人であり、持株比率が50%以上である子会社に分割を行なった。その中で特に独立企業、子会社の支配株主、金融機関といった所有構造の変化をガバナンス構造の変化とし、その変化がもたらす規律付けの効果とパフォーマンスとの影響について分析した。また、規律付けという観点から負債のパフォーマンスへの影響を分析した。
 結果としては、独立企業において支配株主の変化によるパフォーマンスに対する影響は見られなかったが金融機関の影響は大きく、負債の影響は非線形となった。また、子会社において支配株主、金融機関のIPOによる影響力の増加はパフォーマンスに対して負に影響し、負債は独立企業と同様にパフォーマンスに対して非線形となった。

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