6期生 野口 仁士
電気機器産業における無形資産の決定要因
〜投資行動の観点から〜
本論文は、電気機器産業に属する日本企業において、無形資産の創造がどのような要因によるものか、企業の行う投資行動に焦点をあて分析したものである。無形資産を示す変数としては、時価と簿価の差を利用し、説明変数としては、研究開発費・特許・設備回転率・広告支出・経過年数・労働者数・マーケティング費用・平均勤続年数の8個を利用した。これらの説明変数が、無形資産に対して全て正の相関を持つという仮説のもと、統計分析を行った。
分析の結果としては、広告支出・特許・労働者数・マーケティング費用に関しては、仮説通り正に有意になったが、研究開発・経過年数・平均勤続年数に関しては、仮説と逆に有意になり、設備回転率は有意な結果が得られなかった。これの理由として、研究開発投資に対する不確実性、ITバブルの影響、企業風土の影響、投資家に対するIRの質という面から考察を行った。