6期生 沢里 尚徳
企業のガバナンス構造が情報開示に及ぼす影響
本論文の目的は、株式の持合い解消に伴う企業のガバナンス構造の変化が、情報開示にどのような影響を及ぼすかを解明することである。
持合い解消は、金融機関や事業法人の保有株式減少を意味する。その一方で外国人株主は保有株式数を増やし、プレゼンスを拡大している。これまでモノ言わぬ株主として存在してきた金融機関や事業法人に代わり、経営に積極的に介入する外国人株主が台頭してきたことにより、日本企業は情報開示に対する姿勢を変化せざるを得ないと考えられる。
本論文では外国人株主が情報開示にプラスの影響をもたらすことを証明した。また金融機関に関しては、安定株主として外部株主の圧力を遮断するほどの力を持っていないことが示された。事業法人株主は、これまでのようなモノ言わぬ安定株主ではないことが示された。分析の結果は「コーポレートガバナンスの空白状態」の是正を意味しており、日本企業は株主軽視経営から脱却するものと考えられる。同時に日本企業の情報開示に対する姿勢は今後ますます積極的になると考えられる。