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7期生 西山 孝太郎

日本企業に見るオーナー系企業のパフォーマンス

 90年代末のITバブル崩壊、デフレを克服し、日本企業は今再びその活力を取り戻しつつある。その現在好調な日本企業にはトヨタ自動車、武田薬品工業、任天堂をはじめとした所謂オーナー系企業が多い。しかも、これらの企業は多くの日本企業が不況に苦しむ中も競争力を維持していた。
 そこで、本論文では日本のオーナー系企業のパフォーマンスについて分析した。サンプルには東証一部上場企業を対象として時価総額トップ500を求め、その中で1999〜2003年を通して共通してランクインしている企業を用いた。企業パフォーマンスにはROA、ROE,トービンのqという3つの指標を採用した。本研究において最も問題となるのが、オーナー系企業の定義である。本論文ではオーナー系企業の定義を以下とした。

1. 取締役に創業家出身者がいる
2. 創業家による持ち株比率が3%以上である

 本研究ではオーナー系企業の定義を一つに限定せず、上記二つの定義を中心に色々組み合わせることで、できるだけオーナー系企業の定義を変えたら結果がどうなるのかという議論の余地を残さないよう努めた。
 本研究から分かったことは以下の通りである。
・日本のオーナー系企業のパフォーマンスはそうでない企業よりも一部のパフォーマンスでは明らかに優れている。
・創業家の企業に対するコントロールはタイトな方がパフォーマンスに対して正の影響を与える可能性が高い。
・経営トップが創業家出身者で、かつ創業家の持ち株比率が3%を超えるオーナー系企業が最も優れたパフォーマンスを示す。

 本論文の研究主題は創業家というオーナーシップが日本企業にいかなるインパクトを与えているか、であったが、以上の結果を踏まえると、少なくとも負の影響は与えていないが、正の影響を与えていると断言することもできない、という記述にとどめるのが妥当である。しかし、一部の企業パフォーマンスについては明らかに正の影響が認められ、これはオーナー系企業が効率的な企業構造であることを少なからず示唆している。

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