8期生 東 亮三
中古車市場の変容
新車と中古車の価格差別要因は何であろうかという疑問に基づき、価格の垂直差別化という切り口から新車と中古車の比較を試みた。差別化要因は「目に見える特性」(基本性能・オプション価格・メーカーダミー)と「目に見えない特性」(消費者により個別の評価水準)に大別し、後者は残差に含まれるとした。同じヘドニック価格関数に基づくモデル式を新車・中古車のそれぞれについて作成した。まずサンプル数や説明変数の異なる4つのモデル式を、最小二乗法で分析し、その結果を比較した。次に直感的な比較をより理論的分析にするために、最尤法により新車と中古車を比較した。その結果、従来の経済理論に反して中古車市場でも製品の基本性能に確実性があること、新車でも中古車でも「目に見えない特性」の効果が存在することが確認された。BtoC取引において消費者の信頼が重要になってきていること、製品の品質が相対的に向上していることが、中古車市場の変容や中古車の価格決定要因に大きな影響を与えていることが分かった。更に新車と中古車では市場が異なることも示唆できた。