8期生 小杉 洋介
マネジメント・バイアウトによる業績向上効果の検証
〜日本企業のデータによる実証分析〜
本研究では、近年日本において急速に存在感を増しているマネジメント・バイアウト(Management Buy Out)が企業の収益性、生産性、および成長性に与える影響を、定量的な手法によって分析した。欧米企業について同様の研究は数多く行われてきたが、日本においては事例の少なさなどの理由により、そうした研究はほとんど見受けられない。本研究においても、サンプル数の少なさは超克しがたい課題の一つではあったが、以下のような結果が得られた。第一に、収益性の指標としてのROEの改善。第二に、成長性の指標としての売上高成長率の改善。第三に、分析対象企業のそれぞれについてMBO前後でのパフォーマンスの大小関係を直接比較した結果から、ほとんどの指標についてMBOの実施によって業績が向上した割合が高いことが確認できた。これらの結果はMBOが業績向上に寄与した可能性を少なからず示唆しているといえるだろう。