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8期生 大沼 智子

工場立地選択要因分析にみる産業集積の効果

 現在、地域を舞台とした経済活動や産業活動は、大きな構造変化の波にさらされている。それは、経済活動のグローバル化に伴い、製造業の海外展開の進展、海外からの製品輸入の増加等による空洞化の影響や、既存企業の成熟化、消費者の購買意識・ニーズの変化による国内市場の構造的変化等であり、特にその中でも地域経済に多大な影響を及ぼすものは産業の空洞化であろう。
 本研究では、地域が国境を越えて企業によって選別される中で、各地の産業集積等をはじめとする地域の産業資源を活かしていかにして空洞化をくい止めるか、そして地域としての魅力を高めて活力ある地域社会を維持していくか、といった問題意識から、雇用創出、税収の増減および人口の流出入などのさまざまな面において地域社会に影響を及ぼすと同時に、産業集積の形成過程である「工場立地」に着目し、経済のグローバル化が浸透してきた1990年代以降の工場立地選択の決定要因分析を、都道府県別データをもとに行なった。対象期間は1992年から2001年の10年間、電気機械製造業を対象産業とした。結果として、以下のことが示された。

① 地価が高い地域ほど工場立地が少ない。
② 事業所密度が高い地域は工場立地が少ない。
③ 電気機械製造業に特化して製品出荷している地域ほど工場立地が多い。
④ 工場再配置促進法によって特別誘導地域として税制面等で優遇されている地域ほど工場立地は少ない。
⑤ 経済規模の大きい地域ほど工場立地は多い。

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