9期生 三浦 旭彦
飲料産業におけるマーケットリーダーのブランド戦略
新製品が大量投入される競争が激しい市場である飲料産業において、マーケットリーダーはいかにして下位企業を押し退け、地位を維持しているのか?本研究の目的はブランド戦略に絞り、参入阻止戦略を応用して、その要因を分析することである。
マーケットリーダーは平均的に高い市場シェアを持ち、安定的な地位を保持している。この要因を新製品投入が盛んである飲料産業で、ブランドによる参入阻止戦略であるブランド埋め尽くし戦略、広告によるブランド化戦略の理論を応用し、上位への参入障壁の効果を中心に検証した。
その結果、マーケットリーダーのブランド埋め尽くし戦略、広告によるブランド化戦略のどちらもが仮説とは逆に、1年後の下位企業の製品ライン数を相対的に増加させるという結果となり、効果は検証されなかった。つまり、下位企業を製品ライン数という点からは抑え込めていないのである。
これは一に競争相互関係の強さを表していると考えられる。飲料産業において、マーケットリーダーと下位企業は熾烈な競争を繰り広げているのだろう。二に参入阻止戦略の応用可能性の限界を示唆するのかもしれない。元々の前提の違いから異なった結果が導き出されたのではないだろうか。
本研究ではマーケットリーダーのブランド戦略の効果を見ることは出来なかったが、市場で高い地位を占めているマーケットリーダーがさらにその勢力を伸ばした時、それ以上に下位企業が製品ライン数の点では対抗するという飲料産業の熾烈な競争相互関係を導き出せたことはとても重要な収穫であろう。