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9期生 西浦 啓介

モチベーションと従業員・企業パフォーマンスの相関

 人材流動化が進む今日、有能な人材を確保・獲得するために、「モチベーションを高める環境を整えること」は企業にとって重要な課題である。また、少子高齢化進展による労働人口の減少や従業員の高齢化が進んでいるという現状を踏まえると、モチベーションを高め、従業員一人ひとりの業務効率化をはかることは非常に大切である。さらに、近年CSRへの関心が高まり、企業がワークライフバランスなど従業員への配慮を試みていることから考えても、その重要性が分かるであろう。
 そこで本論文では、モチベーションを高める環境を整えることが従業員一人ひとりの業務効率化を促進し、労働生産性や企業収益を高めるかどうかを実証分析した。なお、一般的に、モチベーションは金銭的報酬と非金銭的報酬に分類されるが、ここでは特に非金銭的報酬に注目して分析を行っている。また、モチベーションを高める手段として、人材育成、働きやすい仕組みづくり、コミュニケーション、の3つに焦点を当て、それぞれ別々に検証した。
 その結果、労働生産性に関しては、人材育成と働きやすい仕組みづくりに力を入れていることが、短期的に負の影響を与えていることが示された。また、企業収益に関しては、人材育成に力を入れていることは短期的に正の影響を与えている一方で、働きやすい仕組みづくりに取り組んでいることは短期的に負の影響を与えていることが認められた。このことから、企業は短期的に労働生産性や企業収益が下がることを覚悟してでも、人材育成や働きやすい仕組みづくりに力を入れている可能性がある、ということが示唆された。今後、人材流動化や少子高齢化が進んでいく中で、有能な人材の確保・獲得や業務効率化のため、モチベーションの重要性はますます高まると考えられる。

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