9期生 上田 槙子
産業集積の形態が開業率に与える影響
多種多様な産業が集積している地域ほど開業率が高いのか、それとも特定の産業が集積している地域の方が開業率が高いのか。
本研究では都道府県別のパネルデータを用いて開業率に影響を与える産業集積の形態について、製造業及び卸売・小売・飲食店を対象に産業別に分析することを目的としている。この分析により以下の仮説検証を行なっている。
まず製造業では集積の効果が開業率に正の影響を与えるが、卸売・小売・飲食店では集積の効果は開業率に逆に負の影響を与えるということを検証する。次に、正の集積の効果が確認された産業で、その集積の形態は多様性を持つものなのか、それとも特化したものなのかを検証する。
分析の結果は予想と反し、集積の正の効果を確認された製造業はほとんど存在しなかった。また一部の卸売・小売・飲食店では集積の正の効果が確認された。
この結果は、製造業における集積の効果は都道府県よりも狭い範囲で開業率に影響を与えているという可能性を示唆している。また卸売・小売・飲食店においても集積の効果が影響しているということが考えられる。