サンチャゴから約300粁まで続く。三車線ぐらいで状態は京浜第二国道といったところで走りやすい。60粁で飛ばす。その後は道路予定地といった感じの幅の広い直線路が続く。砂地が多くスクーターにとっては最悪路である。交通量は南に行くに従って少なくなり、大体一時間に一台行き合う程度だ。ガソリンスタンドは50〜100粁ごとにあり、指導標は殆んどないが、なにしろ一本道がまっすぐ南へ下がっているだけだから不自由はしない。たまに三叉路があると、板切れにAl Sur(南へ)とだけ書いて、ポプラの幹なんかに打ちつけてある。
アラスカから延々と続いているパンアメリカンハイウエイもサンチャゴから1500粁南のオソルノで終り、僕等はそこから東に折れてアンデス越えアルゼンチンに入る。このアンデス越えの道は、天城峠越え程度のものが続く。ただここは大陸横断の裏街道であるから、物好きな観光客がたまに通るくらいで行ってみないとはたして通行可能かどうかわからない。僕等が通った時も三ヵ所雪溶けの泥流が道を横切っていた。幸に、一番深い所で20センチぐらいだったので渡れたが、午後だとアフターヌーンフラッドで通れないかもしれない。又1ヵ所崖くずれがあって、たった数時間前まで通行不可能だった所もあった。
国境附近湖水地帯で、チリ側で1回、アルゼンチン側で2回、車もろ共小さなフェリーボートで渡らなければならなかった。このフェリーボートは非常に小さく、僕等のキャリヤーでも重すぎて沈みかかったりしたから4トン積のトラックなんかでも渡ることは出来ないだろう。湖に沿った道などはないから、このフェリーに乗せられないと、2000粁近く迂回しなければならない。冬期の通行は勿論不能。
アルゼンチン
チリとの国境から大西洋岸のバイヤブランカまで1300粁、パンパ大平原と不毛の山岳地帯である。道は2〜4車線で比較的広いが、砂や砂利の深いところが多く走りにくい。水とガソリンは100粁ぐらい走れば得られる。ただ地図に大きな町のマークがあっても実際には、ガソリンポストと小さなカフェー(飲み物と軽い食事が出来る)だけということがあるから注意を要する。パンパでは一日中200粁も300粁も殺風景な砂漠の真中のまっすぐな道を行かなければならないが、天気さえよければ(乾期ならば)このバカバカしく広大な大陸をゆっくり鑑賞しながら走ればそれほど退屈することはない。 |