一橋植樹会 ゾーニングマップ 野鳥マップ
ホーム 国立キャンパス緑地基本計画 作業実施一覧 会員登録 作業参加申込 定款 役員 リンク
サイトマップ 現在位置:ホーム > キャンパスの四季 > キャンパスに侵入する樹木たち その1 西キャンパス  
 

キャンパスに侵入する樹木たち その1 西キャンパス

キャンパスの自然に目を凝らすと、いつの間にか侵入してきた樹木が、すっかり根をおろしている姿に出会います。すっかり背が高くなり、植栽された樹木を圧迫していることも少なくありません。ほとんどの樹木は日当たりのいい裸地でいち早く発芽し、すばやく伸びる「陽樹」です。日照を確保できれば、どんどん幹を伸ばし、枝を広げます。

陸上競技場の東側の部室脇にハリエンジュが7メートルほどに背丈を伸ばしていました。
ハリエンジュはマメ科の樹木で、根に根粒が形成され、空中窒素の固定能力があるため、荒廃した土地でも旺盛な生長を示します。北米原産の落葉高木で、ニセアカシアとも呼ばれています。街路樹等に利用する目的で導入されたようですが、各地で純群落を形成するまでになり、本来の植生を圧迫する樹木として、その繁殖振りが問題視されるようになりました。キャンパスのハリエンジュも5月にフジほどではないが、房状に垂れ下がった白花の花序を形成しました。なかなか美しい花です。果実はマメ科だけあって、豆果を実らせます。

陽光を一杯に受けるハリエンジュ 初夏には花序を垂らし、目立つ

西キャンパスで一番目にする侵入樹木はシュロでしょう。中国に分布するヤシ科の常緑高木で、幹は太らず、枝分かれせず、樹高だけが高くなります。幹は繊維(いわゆるシュロ毛)によって覆われ、伐採に苦労する樹木です。鋸で切っていっても手応えがなく、一向に切り進めません。秋に果実が数多く黒く熟し、鳥によって散布されます。果実は美味しそうに見えませんが、鳥には果実が人気あるらしく、鳥が落とす糞と共に散布され、思わぬところに生え、勢力を拡張しています。

幹を伸ばしたシュロ 秋にはたくさんの果実が稔る

アオキは薄暗い林の中でも育つミズキ科の常緑の低木です。枝は数年間緑色なのでアオキというそうです。庭木にも斑入りの品種などがよく植栽されています。秋深く熟す果実は比較的大きく目立ち美味しそうです。しかし、鳥にはあまり評判がよくないらしく、翌年の春まで残っています。一度発芽すると少々の日陰でもしぶとく育ちます。濃い緑色の大きめな葉が、わずかな光を逃がさず、光合成をしているようです。東西キャンパスの薄暗い林で、あちこちで育つアオキも私たちにとっては厄介な樹木です。

暗い林床でも、株を広げるアオキ 秋深く、赤く熟したアオキの果実

樹木ではありませんが番外で草のワルナスビを紹介します。目を凝らせばあちこちの草原(くさはら)で、よく見かけるナス科の草本です。アメリカ合衆国の原産で昭和初期に上陸し、全国に広がった「悪いナスビ」です。花は可憐ですが、茎や葉に鋭いとげが多く、駆除しにくい難敵です。手鎌で刈り取るには革製の手袋などの防御が必要です。しかしどんなに刈っても、来年あちこちで花を咲かせるでしょう。

ワルナスビ

佐藤征男(記)

≪前へ 一覧 次へ≫

© 一橋植樹会