コラム:神戸空港建設問題の是非を問う

最終更新日:1999年12月19日


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現在、神戸に空港を建設しようという計画が進められている。建設予定場所はポートアイランドの沖合で、新たに海を埋め立てて造られることになる。最近は日本のいろいろな場所で空港建設計画があるようだが、そこには数多くの問題が含まれている。神戸もその例外ではないことをここでは見ていきたい。

神戸に空港を造ろうという計画はかなり昔からあるにはあった。その計画が明るみに出始めた時には、「神戸に空港などいらない」という声が多少はあったが、現在ほどではなかった。そんな神戸空港不要論が一気に盛り上がったのが、阪神・淡路大震災の後である。震災の後遺症で今なお苦労を強いられている人がたくさんいるのに、それを差し置いて、何も空港なぞに大金を注ぎこまなくてもいいだろう、というわけだ。もちろん、実際に造る意義のある空港なら、ここまで建設不要論が出ることなどなかったかもしれない。だが、大阪国際空港(伊丹空港)まで40分、関西国際空港まで70分で行ける位置にある神戸に今さら空港を造ったところで、果たしてどれほどの人が利用するだろうかといった疑問が生じるのは当然のことのように思える。もし神戸空港が計画通りにできたとしても、神戸の中心部からは30分ほどかかる場所であり、時間的には伊丹とほとんど変わらない。発着する飛行機の路線数・便数も伊丹よりはかなり少なくなるだろう。そうなると利用客は、発着本数が多くて利用しやすい伊丹に流れるのは当然のことで、神戸空港は立派なターミナルだけがそびえ立ち、中では閑古鳥が鳴いている、などということにもなりかねない。

にもかかわらず、建設計画はそんな声を無視するかのように着々と進行しているようだ。去る10月25日に行われた兵庫県知事選でも、神戸空港建設反対を全面に押し出した新人の候補者が、建設推進派の現職に大差で敗れてしまった。両候補の政策内容は空港のことばかりではないので一概には言えないが、空港建設に反対している人が多いわりには、選挙結果にそのことが反映されなかったのは残念である。

立派な空港が完成すれば、はた目には神戸は復興したように見えるだろう。だが、目立たないところでたくさんの人が苦労していることにも留意し、公共事業のあり方や適切な税金投入について再考してもらいたい。

(芦澤雄一)


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