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七星會



 何となく過してしまつた六年間、長い樣でもあり、短い樣でもあつた。學生服から背廣に衣更へ 、うれしくもあり、悲しくもあり。
(吉崎 義一)

 愈々六年に亙る一橋の生活も終わらんとしてゐる。臨戰態勢の秋、時代の大きな波は世界を包ん でゐる。我々の行くべき方向も定まつてゐる。強き信念を以てこの超非常時を打開しなければなら ぬ。
 さらば一橋よ!!
(山下 博文)

(望月 繼冶)

 ピカピカの徽章をつけてゐた頃「學生の學生たる所以は沒社會にある」なんぞと意氣まいたもの だが、今は逆に學生にこそ眞の社會性はあると云ひたい程だ。思へば豫科の頃から級の事でも随分 ゴタゴタがあつたが、かてゝ加へて社會さへ又大變革をして來た。卒業は急に繰上る。大戰爭は起 りさうだ。随分忙しい學生生活だつたと思つてる。
(武川 作)

 ニーチエを讀み
 南洋に旅し
 美術に親み
 謡曲を唸り
 子供と遊び
 人間を考へた。
(南川 nO郎)

 遽しい雰圍氣の中に學窓を飛出さんとして居る。樂しかつた豫科生活、又學問は何よりも先づ實 踐の學でなければならないと考えて、コツコツ歩んで來た辛い大學生活。今振返つて見る時、先生 の御温情と何人かの友情が切々として吾が胸に迫つて來る。
(松本 信喜)

 先生に、友達に、お世話になりつぱなしであつたことが大きく心に殘る。飛行機の爆音の如、心 に去來する學生生活の思出を杖とし、路嶮なれど四方の景色の美しからんことを念じてゐる。
 (防空演習の日記す)
(牧田 辰夫)

 たゆたふも水、激するも水、扁舟に棹さして下つた橋畔六星霧。水の心を知るや識らずや。唯之 で良かつたと思ふ。そして心に殘るのは人、人、人‥‥‥
(間宮 健一郎)

 男女席を同じうせざる七歳の時から、十有七年もの長い學びの修行時代に終止符を打つ時が來て 了つた。二十三年の人生の半ばに近い間に何を得たらう。人に語るべきにあらず、自己の胸底祕め て期する所あればそれでよいではあるまいか。
(二見 正之)

 六年間の學生生活は夢の樣に過ぎ去つた。
 その夢の如き學生生活で得たものは粘りの一橋スピリツトだつたかも知れない。そしてこれあれ ばこそ全く矛盾せる生活も無事切抜け得たのであらう。
(原田 久五郎)

 感想なきに非ざれど特にのせていたゞく程のことはありません。他の書ききれない人にスペイス を讓りたいと思ひます、末筆乍ら編輯にあたられる諸兄のご苦勞に感謝します。
(長井 良二)

 得意の時代に於ても勿論だが失意の時代にあつて眞に友情のあたゝかさ、有難さをしみじみと感 じる。持つべきものは友達である。
(戸 博)

 ホツケー部生活六年間、その間得たる傳統的ホツケー部拐~を最大の土産として社會に巣立たう 。
(樽 央也)

 向上を追ひ求めた六ケ年‥‥‥。またこれからだと思ふ。
(高崎 正吾)

 遊び暮した豫科三年間、旅行で過した學部三年間。又六年間を通じて多くの友と交はる。多くの 樂しい想ひ出と共に今再び新しい社會に出て行く。
 我々の前途には幾多の波瀾萬丈が待つて居る。六年間の友情と經驗を以て凡ゆる障害を乘切らう。
(田中 仁榮)

 一橋六ケ年の生活で私は良き師良き友を得た。それらの師友を通して啓發される所極めて大であ つた。餘りにも甘きに馴れて自己をひた隱しに隱して來たのを悔む。
 限りなき愛着を抱きつゝ今一橋を去らんとするに當り一橋の輝かしい歴史と傳統の前にすべてを 擲つて未曾有の難局打開の一翼を擔ふべく努力せん事を誓う。
(鈴木 義彦)

 温室の花は可憐に見えるが弱い。野に咲く花は健康でかつ逞しいと私は思つた。降れば濡れやう 。風吹けば搖れやう、しかし常に逞しく生き生きとしてしかも綿の樣に暖かい心を持つてゐる。私 は野に咲く花でありたい。
(菅波 齊)

 一橋學園の生活を最後に十數年間の學校生活を當に終わらんとするに際し、眞に感慨無量であり ます。吾々を指導して下されました諸先生方に對し心からの感謝を捧げます。卒業後は一生懸命自 己の職務に努力致しませう。
(白木 他石)

 今は十月。後三月で學生々活が終りを告げるのかと思ふと我ながら淋しい氣がする。學生のみに 出來ることを少しでもやつて來たと思へば滿足である。學園は人間と人間を純粹に結合せしめ得る 場であつた。自分は心からの友、その上に良く拙なき自分を理解して下さつた師をもつことを譽り に思ふそれのみである。(十一月十五日)
(所澤 誠)

 ボートより得た若々しい情熱
 學問より得た些かの理性と知性
    その樣な氣持ちを胸に抑へつゝ
    一橋六年の生活を後に
    今學園を去らんとす。
(篠崎 達夫)

 生き、讀み、戀し、且つ恥じ多きことをなしたるかな――一橋六年の生活は高價なもの、美しい ものを私に與へてくれた。
(執行 一平)

 打たれた大きなピリオド、所謂變動期に育つた我々の學生生活は必ずしも光に充ちたものでなか つたかもしれぬ。我々の思索と沸騰とは青年らしい輝かしさを缺き勝であつたかもしれぬ。而も我 々は終に時代の子である。時は動く。かくて、我々はい背廣の前に銀色の劍をとらねばならぬの だ。(中央線にて)
(佐藤 芳信)

(毛怐@由太郎)

 友達のこと端艇部の生活、それ等が生き生きと迫つて來る。學園よ端艇部よ明日の日本に於ける 我々の責任は大きい。大きな自負を持ち健闘されん事を。知己の人々に感謝を捧げると共に今後の 勉強を誓ふ次第です。
(岸 博太郎)

 暖簾に縋るべからず
      暖簾を創るべし  (疏畔)
  又曰ク  憧れは吾が手の玉
      誤ちて地におとし

 うちくだくとも
      なほ吾がものぞ  (春月)
(金井 多喜男)

(柿沼 幸一郎)

 ひとり考へ、ひとり魂を鎭め、ひとり夢みる場所と時間とが、望めばいつも與へられるといふこ とは學生生活の有難さである。そして現在のやうな喧騒な時勢にあつては、學窓を離れても、かう いふ時と場所とを、いつももつてゐたいと思ふ。
(大迫 千尋)

 今廣い社會への第一歩を踏み出さうとして居る。喜憂一卷の學生々活は思へば長くもあり短くも あつた。
(大石 禮司)

 我々は若芽だ、學園と云ふ温室から社會と云う風強き土地に移されんとして居る、然し見よ、何 と太陽の燦々と輝くことよ、何と大空の果しなく蒼きことよ。一本一本の若芽は何時の日か亭々た る大樹と成る可き運命に在る、尊きかな孜々として根本を培ふ者は!
(落合 雄太郎)

 心の火をかゝげて
 お寺の鐘がなる
 お燈明が點けられた
 風が吹いて來た
 人影が巨人の如くゆれる
 燈明は何くそと燃え上がらうと立上る
 急に明るくなつた、周圍は讀經と共に靜かである。
(岩波 栫j

 六年の學園生活は何よりも先ず得難き友に圍まれて送つた。善も惡もひつくるめて春の盃を飮 み干した。一抹の感傷と共に、仕事への意慾に燃えて社會へのり出す氣持。
(一森 明)

 二年九ヶ月の慌だしい學生々活も將に終りを告げんとしてゐる。今更乍ら感慨無量、然し友よ聞 えないか、進軍ラツパの音が心の奥底から、響いてくるのを。さあ出發だ、壯々しく進まう、新し きスーヴエニールを獲後すべく。
(芦田 正之)

 豫科の時に較べて學部の三年は全く夢のやうに過ぎてしまつた、何も出來ずうかうかして居る間 に卒業が眼前に迫つたと云ふ感じがする。御丁寧に繰上げまでされて。それだけに名殘惜しい氣が するが、他方實社會にも何か新しい生活があるやうで、それを生甲斐のあるものにする事がこれか らの勉強だと思つてる。 
(阿波 三男)

 

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