続　亦楽　この人を見よ　（２）

５組　山崎　坦

ア行は天谷君だけだけれどイ行は３人。「会員氏名索引」（イ）石川健一君、井出口一夫君,　井上一造君です。
石川君の手記は一篇あります。近況

井出口君は九州の修猷館中学出身で、
静岡三島、沼津中学から進学した佐藤敏登君の述懐によれば、
「地方から上京した学生は田舎者で、東京に出てきたことが無性に嬉しかった。井出口君もその一人で。」
日差しの明るい教室で、
休み時間にはひとりでに昨日新宿で見た映画メリーウィドウのメロディーの鼻歌が出るというように、
誠に楽しかったのです。

閑話　　　当時、流行した洋画については戦前映画座談を見ていただきたいが、
未だ語り尽くされてはいないので続けたいと思っています。
メリーウイドウは当時オーストリア・ハンガリーのレハール作のオペレッタに基づくもので、
最近のウイーン・フォルクスオパの公演が最高と思いますが、
当時米国映画で、フランスの名優シャンソン歌手のシュバリエ
(新しいところでは’昼下がりの情事’でオードリーヘップバーンの父親役をやりました。)
とアメリカの名花・ソプラノのジャネット・マクドナルド
（彼女にはほかに桑港という映画でクラークゲーブルと共演、ラブパレードなどがあります。）
シュバリエとジャネット・マクドナルドの演ずるアメリカ映画でした。　　　　　　　　　　休題

井出口君の話です。
彼は文学青年でした。おなじ性向の学友数名と同人誌を作ったりしたことが、詳細記録されています。
中でも太宰治を訪問した話には興味をそそられますが、文学青年の文らしい文だなと思いました。