キンラン、ギンラン
落葉樹が葉を落としていた早春から続いていた、イチリンソウやニリンソウなど春の妖精たちの饗宴が幕を閉じる。落葉樹の緑が次第に濃くなっていく。林床に届く光が少なくなる。それでも楚々としたキンラン、ギンランがすっくと立つ。
西キャンパスの目立たないコナラ林でのこと。
キンランの名は花を見るとすぐわかる。花は半開きで終わる。ギンランは花がキンランに対し白色だからその名がある。
花はやはり完全に開かないで終わる。共に林の中に生えるラン科の多年草。揃って、慎ましくも美しい若き女性の面影がある。
昔は落葉掃きや下草刈りが行き届いた雑木林でよく見かけたという。ところが今や武蔵野では絶滅種に近い。植樹会の手入れが隅々までいきわたったことにより、武蔵野の美しい雑木林の娘たちが再び花開くようになったのか。
ギンランがひそやかに咲いているのを見つけたのはちょうど2年前、キンランを認めたのは1年前のことである。 |