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写真 佐藤征男 |
冬ともなれば、西キャンパスの第一講義棟近くで、その存在を主張する。実は真っ赤に熟し、ナンテンやセンリョウとともに正月用の床飾りに使われる。
名も、実の美しさを万両に讃えたもの。本来は暖地の常緑樹林内に生える常緑低木である。
名のめでたさが喜ばれる。
昔の商家は、やはり赤い実をつけるセンリョウ(センリョウ科)とアリドオシ(アカネ科)を合わせ、3つに並べて庭に植えた。合わせて「千両、万両、有り通し」となり、景気がいい。同じく正月に飾るナンテンも「難を転ずる」で、これまた縁起がいい。マンリョウやセンリョウ、ナンテンなどは縁起植物と呼ばれる。
万両、千両とくれば「百両、十両」はあるか。ある。
百両はカラタチバナ、十両がヤブコウジ。マンリョウとともにヤブコウジ科の常緑低木で、赤い実が美しく、やはり正月の床飾りとされる。
センリョウは葉の上で空に向かって多数の赤い実をつけるが、マンリョウはたわわな実を葉の下に慎ましく下げる。「実るほど頭を垂れる」様である。
私たちと色覚が似た鳥に対してもよく目立つ赤い色だが、栄養価値が低いらしい。鳥にとってあまり美味しいとはいえないようだ。花の咲く6月頃まで残ることがある。鳥に食べ尽くされないからこそ、色気のない冬のキャンパスで目立つ。
佐藤征男(記)
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