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写真 坪谷英樹 |
入学式の頃、キャンパスへの道は花街道で、花吹雪の中を歩けば、身も心も桜色に染まった気持ちがした。
大学通りのサクラは1934年、市民の手によって銀杏と交互に植栽された。そのほとんどがソメイヨシノである。
正門前では趣が異なるサクラが一際鮮やかに迎えてくれる。しだ枝垂れた紅色のサクラ、ベニシダレだ。キャンパスに入り、しばし歩く。目の前にベニシダレが揺れている。枝が枝垂れると、目の前で花を観賞できるから、枝垂れたサクラは人気が高い。艶やかな紅色の花越しに時計台を見る。1930年(昭和5年)完成した重厚な時計台棟が優美に見える。
ベニシダレもシダレザクラもエドヒガン系のサクラである。エドヒガン系のサクラは長寿である。天然記念物に指定されている名木や巨木のほとんどがエドヒガン系だ。日本三大桜の一つ、福島県の三春の滝桜はベニシダレ、千年以上も長生きしている。キャンパスの自然環境がよく保たれれば、ベニシダレは長く本校の春を、そして歴史を飾ることになる。古木になってほしいサクラである。
佐藤征男(記)
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