古樹の雰囲気を漂わすコブシの巨木。植樹会顧問福嶋司東京農工大教授によると武蔵野では最大級だと言います。向き合えば泰然として、辺りのサトザクラ群を圧しています。コブシは西キャンパス本館南側にも数本ありますが、樹齢は若そうで、樹高は5メートルほどです。
コブシは春を呼ぶ植物として歌にも歌われます。サクラより先に咲き、春を告げる木です。既に早春には葉の展開前に、枝一杯に白い花をまとい、枯れ草色の冬のキャンパスを彩ってきました。葉が出る前に白色の花をつけるので、満開になると木全体が白く見えます。
コブシはモクレン科の仲間です。ハクモクレン、ホオノキ、タイサンボクなど同じモクレン科の樹木と同様に大きな花びらを持っています。
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コブシの花・西キャンパス本館南側 |
樹皮は灰白色で平滑な感じですが、コブシの巨樹は樹齢を映し、うねり、瘤も目立ち、野武士の風格があります。そして今年も新緑を密につけた枝をキャンパスの空に広げて、旺盛な生命活動を展開しています。
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コブシの巨樹・西キャンパス野球場西側 |
夏、こぶこぶの奇妙な形の果実を稔らせます。この実が「コブシ」の名の由来といわれます。秋になるとその実は割れて、中から鮮やかな種子がでてきます。これが鳥によって散布されます。
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コブシの果実 |
やがて赤い実を落とし、まもなく葉も落ちます。そして来年の早春も、他の木々に先駆けて甘く香る白い花を、梢いっぱいに咲かせるでしょう。こうしてコブシはまた1年、樹齢を重ねます。
佐藤征男(記) |