図書館、兼松講堂、本館など重厚菜建築物に囲まれた庭園的景観は本校のシンボルです。建物にマッチングするよう、イチョウやヒマラヤスギ、アカマツなど高木が配されていますが、ツツジのような低木も景観構成に欠かせない重要な構成樹種です。
日本のツツジの自生種は100種以上といわれ、多様です。シャクナゲのように高山など苛酷な自然環境に適応する種もかなり見られます。サツキは本来渓流沿いの岩の上などに生育しますが、自生種はなかなか見られなくなりました。日本では古くから園芸品種として交配され、美しい品種がたくさん生まれています。
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ツツジの花 |
ツツジの花の面白いのは、花粉を媒介してくれる昆虫のため蜜のありかを示すガイドマークが、花弁上部についていることです。ツツジの花は漏斗型の合弁花で蜜を吸える昆虫は限られます。ツツジにとっては、そのほうが他の同種のツツジの花粉を受粉できる確率が高まるのです。ガイドマークはそれ専門の昆虫へのシグナルかもしれません。中にはガイドマークが確認できない種がありますが、昆虫には識別できるらしいのです。人間の目では紫外線は感じることができませんが、昆虫は紫外線で識別しているようです。
色も艶やかで、濃い紅色から白色まで多彩なツツジ。本キャンパスにはアセビ、シャクナゲ、サツキ、ドウダンツツジ、オオムラサキなども見られます。早春からひょうたん池脇のアセビが花を開き始め、長く咲き続けています。
5月はサツキが一斉に咲き揃います。春の日差しの中で、図書館を、兼松講堂を、銅像をツツジが飾ります。
佐藤征男(記) |