オナガ (スズメ目カラス科) 全長37cm 留鳥
ベレー帽をかぶったような黒い頭、灰色の背と腹、水色の翼と尾、スマートな体つきとバランスのよい長い尾。大変美しい鳥ですが、そのお洒落な姿からは想像もできないほどの悪声で「グェーイ、グェーイ」と鳴きます。濁声で鳴きわめく優美な姿のオナガの群れは学内の至るところで観察できます。特に観察しやすいのは東キャンパスの東2号館付近です。関東ではおなじみのオナガですが、西日本には生息していません。世界的には、ユーラシア大陸の東西の端にのみ生息するという、ちょっと不思議な鳥です。九州北部にはオナガと同様に「黒くないカラス」であるカササギが生息しています。こちらはユーラシア大陸に広く分布し、中国では七夕の夜に橋をかけたり、ロッシーニの歌劇「泥棒かささぎ」で銀器を盗んだり、と世界的に活躍しているようです。
ある日ホッケー場の傍の林を歩いていて、地面に水色のものが落ちているのが目に留まりました。ゴミかな、と思い近付いてみるとオナガの尾羽でした。はっとするほど美しい色なので色の本で調べたところ、スカイブルーに近い色でした。スカイブルーはazureとも呼ぶそうで、オナガの英名がAzure-winged
Magpie(スカイブルーの羽のカササギ)であることに納得しました。
以前、正倉院の絵画・工芸品の写真を見ていたときに「尾長鳥(おながどり)」という意匠がしばしば用いられているのに気が付きました。これはオナガではなく、同じカラス科で中国の山間部に生息するサンジャクのことのように思います。ちなみに「尾長鶏(おながどり)」は高知県特産の尾の長いニワトリの名前です。地域によっては、オナガを「オナガドリ」と呼ぶところもあるそうで、混乱のもとになっています。名前はこのように紛らわしいですが、尾をひらひらさせて飛ぶ姿はバードウォッチング初心者にもわかりやすいので、東日本の方は是非このエレガントな姿を観察してみてください。
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