アオジ (スズメ目ホオジロ科) 全長16cm 留鳥
2月末のある日、磯野研究館の傍を歩いていると、近くでアオジの「ツッ、ツッ」という声がしました。声の主を探して植え込みの中をのぞいたのですが見つかりません。おかしいなあと思いつつ顔を上げて驚きました。生協脇のマンホールのくぼみにたまった雨水で水浴びをしていたのです。その雄のアオジは、双眼鏡で入浴シーンをのぞくこちらを気にしながらも「ツッ、ツッ」と鳴いてしばらく水浴びを続けていました。まず頭を水にくぐらせてから翼を震わせる手順をを何度か繰り返して、傍の植え込みに隠れてしまいました。
和名ではアオジ、英名ではBlack-faced buntingというと「いったい何色の鳥?」と思ってしまいますが、体は緑灰色から黄緑色、嘴の周りは黒っぽい色をしています。アオジも含め、日本では「アオ」の名のつく鳥はアオゲラ・アオバトなど、黄緑色をしているものがほとんどです。「なるほど青いかもしれない」と思えるのは、青灰色をしたアオサギくらいでしょう。では、本当の青色をした鳥は何と呼ばれるのでしょうか?答えは「ルリ」です。オオルリ・コルリ・ルリビタキ・ルリカケスは青い鳥です。ちなみにアオジとは漢字で青鵐と書き、「鵐」の字は「シトド」と読みます。シトドもホオジロの仲間を指す名前です。
アオジは一年を通して日本で見られますが、本州では高地で繁殖を行うため、都市部では秋冬のお馴染みの鳥です。庭先やちょっとした茂みなど、身近にたくさんいるわりには、引っ込み思案な性格と地味な姿ゆえ、バードウォッチャー以外にはあまり知られていないようです。学内でも5月上旬くらいまでは見ることができますが、やぶの中に隠れていることが多く、個体数は多いにもかかわらずなかなかじっくり観察できない鳥でもあります。
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