12月5日
今日は日曜日で、裁判所も開いていない。初日と言う事もあって、特に予定も入っておらず、サクラメント市内の観光と言う事になった。午前は街の中心にあるショッピングモール「ダウンタウンプラザ」に行った。街がクリスマス一色で何とも奇麗である。カップルも一杯で幸せそうである。昼食はダウンタウンプラザ内にあるファーストフード街で食べる事になった。ここでも、アメリカンサイズに苦しめられる事になる。僕はたいして苦しまなかったが、ピザを頼んだ後輩は実に苦しそうだった。

午後は、先に帰国する人達は先生と一緒に一足先にロースクール見学にと向かい、最後までいる人は12月10日にロースクール見学に行くので、自由に行動する事となった。僕は最後まで滞在するので、ショッピングをしたり、オールドサクラメントと呼ばれる西部時代を再現した街に行ったり、英語で007(World is not enough)を見たりしていた。映画の代金は5ドルと破格の安さである。日本はこの3倍はする。日本も見習って欲しいものである。ちなみにこの007の日本版の主題歌はルナシーが担当するらしい。安いのは良かったものの、当たり前だがセリフは英語で字幕もなかったため5%も分からなかった。この日、僕達は夕食に中華料理を食べた。昨日の夕食の時にも行った店だったから二度目である。スープを一人前か二人前頼むかでもめたが、店員が「昨日は二人前でしたよ(←英語で)」と言った事により、あっさりと解決したのであった。

12月6日
本日の起床は7時で、下の食堂に食事の支度をしに行ったのはそれから20分後くらいであった。しかしその時既に先生と女性陣の幾人かは支度をしており、女性の底力を思い知らされたのであった。

先生は昨夜「裁判所は9時から開廷し4時30分頃終わりますから、大体ここを8時50分頃でればいいでしょう」と言っておられた。この時は、そして朝になっても、「げっ!一日中ですか?まさかあ・・・」と思っていたが、一橋の教授はそんなに甘くはなかったのであった。

言葉通り午前9時にはカリフォルニア州裁判所に向かい、4階の第21法廷に向かった。そこでやっている事件は・・・なんだったかな?恥ずかしながら意識が飛んでしまっていた。昼飯は裁判所の6階の店にて摂る事と相成った。体に悪そうな飲み物ばかりが並んでいた。

午後は先生の知り合いのホーリー弁護士が担当する事件を見る事になった。ホーリー氏は張りきっており、法廷にてやたら映画がかったオーバーリアクションで我々を歓待してくれた事は言うまでもない。しかし我々の意識が飛んでいた事もまた、言うまでもない。この晩、先生からのお達しは「くれぐれも皆さん寝ないでください」であった。もちろん、寝たくて寝ている訳ではない
のだが・・・わかんないんだもん!って言うのが僕を含む一部の統一見解なのであった。ちなみにこの日、僕の友人は、陪審員に「stay awake」と言われたそうである。

この日の晩であっただろうか、先程も登場したH氏は、150ドルの靴を買って履いてみたがちょっと小さいからどうしようかと悩んでいた。さすがに道路で履いてしまったからには交換すらも厳しいだろうと僕と院生の先輩M氏は言ったが、彼は大丈夫だろうと言って聞かない。結果、交換どころかサイズが合わないからと返品までしてしまった。こういう人間っていいなあと、小心
者の僕は素直に思った。

12月7日
この日の午前は例のカリフォルニア州裁判所での傍聴だった。昼食はTOKIOという日本料理屋で食べたが、久々のソバの味に感動してしまった。値段も安いし、いい店である。この先僕はこの店に4回も足を運ぶ事になろうとは、この時でも何となく感じられていた事であった。

TOKIOで昼食を食べて裁判所に戻り、法廷に行くためにエレベーターを待っていると、何やらフレンドリーなおばさまが我々に話しかけてきた。先生がいないので、戸惑う我ら・・・。どうやら「裁判官と話をした事がある?」と聞いているらしい。「あまり、ないです」と答えると、「じゃあ、この時間にこの場所に話を聞きにおいで」と言って名刺をくれた。どうも要領を得ない。僕が「Excuse me. Are you judge?」と聞いたらおばさまは優しく「yes!!」と言ってきた。どう見てもクッキーのステラおばさんのようなこの人が、裁判官? というよりもどうして僕らを自分の裁判官室に誘ってくれるの? 疑問は尽きなかったが、この後もこのような裁判官からのお誘いは何回か受ける事になる。どうやら、毎日毎日怪しげに法廷をうろつく我々は、このカリフォルニア州裁判所の中でちょっとした珍事となってしまったらしい。先生に訳を話し、ありがたく好意に甘える事にした。

そして会談の後は傍聴の続きである。疲れが出たのか、僕の見た感じであるが半数以上は意識が旅立っていたように感じられた。廷吏には「寝ないで」とたしなめられるし。午後の法廷傍聴は、廷吏が先生に「学生さん達はかなり疲れているようですし、今日は引き上げてはいかがですか」と進言した事により、強制終了とあいなった。当初我々は何で途中で引き上げるのだろうかといぶかったが、先生から「廷吏からこのように言われたので、引率者としてはこうしないわけには・・・」と言われた時にはただただ恐縮するばかりであった。ただあまり反省に持続力がない(?)僕を含む一部のゼミ生は、その晩TOKIOに向かい、ビールをあおり、夜のミーティングもそこそこに寝てしまうのであった。僕もこの日は生まれて久しくやっていなかった8時30分寝を敢行してしまった。早寝って、気持ちいいですね・・・