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サトザクラ  
 写真 坪谷英樹
 写真 坪谷英樹

キャンパスのソメイヨシノが散ると、今度は遅咲きのフゲンゾウが咲き始める。落葉樹の新緑が勢いを増してくる。淡い緑に薄紅色をあやなすサクラの花を、薫風がやさしく揺らす。
山に自生している「山桜」に対して、里で栽培しているサクラを「里桜」と呼ぶことがあるが、植物学ではオオシマザクラの特徴が現われている栽培品種のサクラを「サトザクラ」として分類している。オオシマザクラは強い変異性があり、多種との交配により、観賞価値が高い栽培品種が数多く生まれた。2月下旬に開花する河津桜や5月も咲く八重のフゲンゾウ(普賢象)もサトザクラの仲間である。
4月下旬から、西キャンパスに桜並木ができる。野球場西側から柵の壁に沿って、陸上競技場南側まで、樹齢40年ほどのカンザンなどのサトザクラが植栽されている。南側のおよそ200mの道は植樹会によって新たにフゲンゾウが植えられ整備された。植樹会の代表だった故岸田登さんの名を冠して「岸田ロード」と呼ばれる。
兼松講堂の西側にも、フゲンゾウなどサトザクラを配した庭園空間が蘇った。矢野二郎先生像周辺はこの一年、不要な木が伐採され、つる植物も除去された。明るい景観へと一新された。ここには花が黄緑色のウコンやギョイコウなどのサトザクラが文字通り花を添えている。新緑に八重のサクラが眩い。
新緑の中、桜を愛でながら散策する喜び。

佐藤征男(記)


写真 佐藤征男

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