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冬紅葉 |
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日本には26種のモミジがある。スケールには欠けるが、色合いは複雑で世界一美しいといわれる。初もみじ、薄もみじ、夕もみじ、庭もみじ、谷もみじ、奥もみじ、峰もみじなど、紅葉をあらわす言葉が多いのは日本ならではだ。そして「冬紅葉」、勿論俳句の季語は冬である。 葉が赤くなるのはわけがある。秋が深まり気温が低下すると、根の活動はおとろえ、給水能力も弱まる。気温の低下に伴い空気は乾いてくる。これらを感知し、植物は葉を維持することをあきらめ、葉を落とし、低温と乾燥を乗り切ろうとする。そこで葉の柄の部分に離層組織を形成し、水と養分の流れを遮断する。それでも葉はなおしばらく光合成を続ける。だが葉でつくられた糖分は離層によって移動を阻まれ、葉にたまる。この余分の糖分から、赤い色素・アントシアニンが合成されてくる。やがて葉の葉緑体はしだいに活動を停止、緑の色素・クロロフィルも分解される。そしてアントシアニンの赤が鮮やかに現われるといった次第である。キャンパスの冬紅葉は寒さや乾燥へのセンサーの感知が、何らかの理由で他の紅葉より遅れたことによる。
美しく紅葉するには条件がある。充分な日当たりや、きれいな空気、充分な冷気、とくに夜の急激な冷え込みが必要といわれる。キャンパスではこうした条件がそろったので、冬紅葉が「はなやか」に見えるのだろう。これに雪が降れば、紅葉が白く彩られ、風情が増す。
佐藤征男(記) |
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