植物図鑑で「スイレン」を調べようとすると、載っていないことが多いようです。「スイレン」は園芸上の呼び名で、スイレン科スイレン属の水生多年草の総称です。たくさんの園芸品種がありますが、キャンパスのスイレンは、産地で大まかに分けると、温帯性のスイレンのなかまに入ります。地下茎から長い茎を伸ばし、水面に葉や花を浮かべます。よく混同されるハスは地中の地下茎から茎を伸ばし水面よりも高く出る葉もありますが、スイレンにはありません。スイレンのなかまは、日本に1種が自生し、和名をヒツジグサ(未草)といいます。各地の池に生育し、白い花を午後咲かせます。
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ヒツジグサ |
むらさきの睡蓮の花ほのかなる息してなげく水の上かな (与謝野晶子)
花色は白から紫で多彩で、神秘的な感じがします。ハスが古代インドで、ヒンドゥー教の神話やなどにシンボルとして繰り返し登場ますが、スイレンは古代エジプトでは、ナイル川に咲く聖なる花とされたそうです。そういえば、印象派の画家クロード・モネの大作「睡蓮」も有名ですね。
夏のキャンパスにあっても木陰をえらび、水面のスイレンの花に向き合いたいと思います。 佐藤征男(記) |