上越秘湯の旅
鈴木 徹郎(昭39社)
植樹会では 毎年研修旅行を行っている。日本の自然(ブナの森をターゲット)を探索して、生活との係わり合いを体験するというもの。
今までに玉原高原、田代湿原、大沼湿原と周囲の森林を選んで、本会顧問の福島教授(農工大)のご指導をえながら、旅を楽しんできた。
ことしは残念ながら台風の直撃でとりやめたが、継続は力なりで後日実施することとして、昨年暮れに上越山脈最深部にある法師温泉を訪ねた。森は畳々として重なり、山襞に囲まれた中に名湯があった。
この湯は 数百年の時間をかけて、多くの湯治客を癒してきた。しかもここの建物は、森の恵みを受けて近隣の銘木を使い、大雪にも大風にも耐えて雄雄しく生き抜き、現在 国の重要文化財に指定されている。(一部の建造物)
この歴史の重さが、明治以降 数多くの文人墨客が名湯を慕い、その証しを宿に残してきている。そんな黒光りの雰囲気のなか、いろりの煙に目をこすりながら、宿の若主人にお茶を振舞われてしばし山の文化の神々しさをかみしめ、反芻していたのは私ひとりではあるまい。
参加者10名(夫人3名)の小さな旅であった。
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