留学先の風景
川合佑美子(法学部4年)
私はオーストラリアのブリスベンにあるクィーンズランド大学(The University of Queensland: 以下UQ)に2007年2月から12月まで如水会留学をさせていただきました。UQはキャンパスがSt Lucia, Gatton, Ipswich(それぞれ地名)に3つあるのですが、その中でも私の通っていたSt Luciaキャンパスについてここではご紹介します。
2月のブリスベンは夏真っ盛りで日差しが強いのですが、青空は澄み渡り、ブリスベン川がシティの中心を流れる、清々しい都市です。アロハシャツを着て出迎えてくれたドライバー、ビーチサンダルを履きサングラスをかけて通りを歩く人々、道路の両側に植えられたヤシの木、そして、ヤシの木やハイビスカスなど多くの緑と花に覆われた寮…南国の地を連想させる町並みを見て、これから始まる留学生活に大きな期待を抱いたことを今でも鮮明に覚えています。
シティを通るブリスベン川は緩やかな蛇行を繰り返しているのですが、その中の一つの蛇行部分に囲まれた敷地一体がUQのSt Luciaキャンパスとなっています。大学の周りが川に囲まれているため、バスと同様に交通手段としてフェリーを利用して通学する学生がいる点が特徴的です。大学は全体で114ヘクタールあり、おそらく東京ドーム24~25個分に換算できます。緑のやわらかい芝生を擁するサッカーグラウンドやラグビー場(playing field)は、St Luciaキャンパスの川沿いに合計7つあり、川の青さと校庭の緑はとても爽やかで、大学は解放的でのんびりした雰囲気に包まれています。
キャンパスの中心部には、白い砂岩で造られた大学の本館があり、緑の芝生と青空によく映えます。柱廊に施された彫刻はどれもデザインが異なり、目を楽しませてくれますし、本館の前にもGreat Courtと呼ばれる芝生が広がり、木肌の白い木が植えられていて、美しい景色となっています。また、本館の両隣に併設された法学部の図書館と社会学部の図書館のまわりにも季節毎に花をつける木々が植えられており、ブリスベンの気候の良さと自然の豊かさを常に感じることができました。
例えば、春にはジャカランダという藤の花の色をした桜のような花が大学のいたるところを覆い、一面が紫色で包まれます。その風景は日本の大学が桜に包まれるときと非常に似ています。ジャカランダの花はオーストラリアでとても愛されていますし、日本人にも桜を連想させるためか人気でした。私は、留学した年には春に日本で桜をみることができなかったので、残念に思っていましたが、このジャカランダの花を見た時、日本以外にも桜が咲くときのような風景があることに驚くと共に、とても嬉しく思ったのを覚えています。また、夏には鮮やかな赤いPoincianaの花が咲きます。この鮮やかな赤い色の花は、夏のブリスベンの暑さを象徴するような花で、ブリスベンの夏を思い出すときは、この花のことも一緒に思い出してしまうくらいです。図書館に行くまでの道はPoincianaの花がずっと続いており、図書館内からも燃える様な赤い花の一群を眺めることができます。その光景は圧巻です。この花を見る度に、留学に来ているのに、南国に旅行に来たかのような錯覚を覚えずにはいられませんでした。秋には黄色いGolden Pendaの花が印象的です。背が高く、ふっくらした木で、一面に黄色い花をつけ、目を和ませてくれました。季節によって異なる花が咲き、各季節で大学の違った表情を見ることができて興味深かったです。
大学内には大きな池もあり、ここには鴨や体長70センチくらいのガチョウが生息していて、小さな公園のようになっています。池のまわりは散歩コースになっているのですが、ジョギングをしている人や、教室へ向かう学生がそこを通るときに、ガチョウや他の鳥たちの合間を縫って通過していく光景に出くわすこともしばしばでした。このようなのどかな風景が広がる一方で、近年言われているように、オーストラリアは水不足が深刻で、この池が唯一大学内で水を湛えている場所となっています。その他のUQ内にある鑑賞用の小さな池の水はすべてストップされており、本来なら、噴水が出て、夏の暑さを和らげる働きもしていたと思われますが、私の留学中は噴水をみることができませんでした。また、生活面においても、水を長時間使用してはいけない、という注意が頻繁にされていたことも事実で、オーストラリアの水不足の深刻さを肌で感じる一面もありました。
それでも、緑と色とりどりの花に恵まれ、自然に溢れているUQは私にとって最高の場所でした。散歩コースがいくつもあるので天気が良い日には、よく大学内を散策していました。大きな池、緑の芝生、頭上一面に広がる青い空、構内に点在するカフェ、大学を囲むブリスベン川など、どこを切り取っても、一つの絵として完成してしまうような風景がUQを作り上げています。ブリスベンが天気に恵まれた場所であることも手伝って、2〜3時間を構内の散策に費やしても飽きないくらい大学の環境は恵まれており、どこに行っても見とれてしまうような風景が大学内に広がっていました。特に、大学内構内に設置された寮に住んでいた私にとって、この自然に囲まれた環境で一年間生活できたことは貴重な体験となりました。
留学前に日本にあるオーストラリア大使館を訪れた際、オーストラリアは自然を大切にする国であること、また、オーストラリアに留学等で滞在した人の大半が自国に帰ってからも再びオーストラリアを訪れるというブーメラン現象が起こるということを伺いました。実際、オーストラリアの自然を目にすると、広大な森林が存在することや多くの野生動物が生息していることに驚きますし、そのような豊かな環境を守っていかなければならないことを強く痛感します。また、帰国してしばらく経過してもまだまだずっと、ブリスベンに再び行きたいと思い続けており、それはまさにブーメラン現象の兆候そのものだと実感しています。今年中に一度は訪れる予定です。
のびのびした環境で、思いきり留学生活を送ることができ、このような機会を与えて下さったことを大変感謝しています。この経験を役立てることができるように、今後とも尽力して参りたいと思っております。
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UQの池から眺めたジャカランダの花々 |
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Poincianaの花 |
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