新生一橋植樹会の7年間
一橋植樹会顧問 田中政彦(昭35経)
1,100名を超え、ボランティア作業も安全に配慮しつつこの1月で75回を数えるまでになりました。振り返ると、私にとっては7年間で70回作業参加という区切りのタイミングなので感慨も一入です。
2003年6月から8月にかけて3回、キャンパスの緑にご指導いただいている東京農工大学の福嶋 司先生に引率されて大学当局と植樹会関係者はゾーニングの勉強にキャンパス内をくまなく歩き回りました。「道なき道」をかき分けて、先生の実地講義を聴きましたが、どこから手をつけていいのかわからない、きれいになるには10年位かかるかもしれないという感じでした。
福嶋先生の方針は、ゾーニングをベースにした基本計画策定と、一番荒れている所から併行して作業をしようということで、7月から早速、作業が始まりました。先ずはホッケー場東側の竹藪とひょうたん池周辺にアタック。慣れない力仕事で疲労困憊、特に竹藪伐採はしんどかった。
当初の道具は、草刈り鎌と植木ばさみ・小さなのこぎりが主役で、田ア宣義先生の電動式チェンソーと施設課の伊藤さんと宇井さんの刈り払い機が数少ない「機動力」でした。腰痛持ちのOB参加者はつらそうに腰をかがめて、仕事に取り組んでくれました。作業時間はお昼休みを挟んで、10時から17時まで。
終わる頃は暗くなってしまい、本当にクタクタでした。
暫くしてからは、午前の作業は止め、今では午後の2~3時間になりました。
使い慣れない機械では無理をすると怪我のもと、と「人海戦術」にこだわりすぎたと反省しています。今では、刈り払い機は10台に増えました。操作が易しく、より安全なナイロンコード式です。また、運搬用のリヤカーも4台あります。道具類の作業現場までの運搬と剪定した枝葉や刈り草の搬送に大変役立っています。
安全対策には、特に気をつけました。高齢のOBの皆さん、若い学生たち、いずれも殆どが素人です。鎌やのこぎり・植木ばさみなどの道具の使い方から勉強です。最初の頃は、1日の作業が無事に終わると、ほっと安心してがっくりするほどでした。作業班の皆さんには、施設課との段取り打ち合わせ、準備体操、お茶の手配、緊急時の保健センターとの連携、反省会の段取り、道具類の整備等々、気疲れのする仕事をお願いしています。傷害保険の手続きもあります。
尚、高所作業は安全上自粛。電動式チェンソーも極力使わず、のこぎりで間に合わせます。
苦役のように労働するだけで、汗を流しての達成感を味わう喜びが無くては活動は長続きしません。福嶋先生の肝いりで、寒ブリ大会・山菜天ぷら会・ススキ草原での月見・自然薯掘りパーティなどの企画が取り入れられました。学生たちを交えての交流で植樹会の輪が広がっています。
武蔵野の面影が残っているキャンパスですが、秋の七草を配したススキ草原が在りませんでした。福嶋先生のご指導とご協力で陸上競技場奥にススキ草原を造りました。ススキは大分の久住高原で採取したものです。フジバカマは株分けして植え広げ、ススキとハギも株分けするほど立派に育っています。
春のKODAIRA祭と秋の一橋祭は学園祭の2大イベントです。植樹会は祭の前に学生たちと掃除の共同作業をしています。また、ブースも確保して活動のPRにも努めています。ドングリなどの木の実や落葉を使った「森のクラフト教室」は来場する子供たちに大人気です。永年大学側にお願いしてきた植樹会室の確保が施設課のご協力で昨年4月に実現しました。学生間の打合せ・作業、OB・学生の打合せの場として植樹会活動の基地として今後有効に機能すると思います。おおいに活用してほしいと思います。
西キャンパスのメイン庭園は何といってもキャンパスの顔です。のびのびとした大木たち、整然と剪定された植え込み、きちんと刈り込まれた芝生などが、周りの建物群と調和して、四季折々の風情を醸し出しています。
ここは、原則として施設課が手入れをする所ですが、毎月の手入れを植樹会がお手伝いをしています。5月のホームカミングデーに、ゲストとして来校されるOBの皆さんに喜んでいただき感無量です。
地球温暖化問題や日本の農業再生、食糧自給率や世界の水資源問題などこれから巣立っていく若者たちに託される課題は山ほどあります。素晴らしいキャンパスで、心豊かに緑への関心を深め、作業を通じて、額に汗する労働の大切さを学びとってほしいと思います。
半世紀前に卒業したOBとして心から念願しています。
|